みなし残業(固定残業時間制)について
- 上田昌平

- 3月3日
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みなし残業(固定残業代制)とは、実際の残業時間にかかわらず、あらかじめ定めた一定時間分の残業代を支払うしくみです。みなし時間より残業が少なくても減額はできませんし、超えた分は必ず追加で支払う必要があります。
近年は、固定残業代を含めた初任給を提示し、見かけ上の金額を高く見せる求人も増えています。しかし、学生さんが制度を十分理解しているとは思えません。さらに、企業側の運用が曖昧であれば、いずれは残業代の未払いなどの労務リスクに直結します。問題は制度そのものではなく、「適切に運用できているか」です。
みなし残業を導入する場合、企業人事の実務上、特に重要なのは以下の四点です。
第一に、基本給と固定残業代の内訳、対象時間数、計算方法を明確に示すこと。総額表示だけでは不十分です。採用段階から透明性を確保することが信頼の出発点になります。
第二に、固定時間数の根拠が説明可能であること。過去の残業実績や職種特性に基づかない設定は説得力を欠きます。「業界相場」は理由になりません。
第三に、従業員が超過分を申請しやすいしくみを整えること。制度上は支給すると定めていても、申請しづらい雰囲気があれば機能しません。未申請を前提にした運用、これが一番大きなリスクです。
第四に、評価制度との整合。効率的に働いて成果を出す(生産性が高い)働き方がしっかり評価される設計でなければ、長時間労働を助長しかねません。
あらためて言うまでもなく、みなし残業が適切に機能するためには、従業員が業務量をある程度コントロールでき、超過申請が当然に行える環境が不可欠です。(よって、“新入社員がみなし残業”というのは、私としては違和感しかありません。)
制度の成否は設計ではなく運用で決まります。見せ方ではなく、中身で信頼をつくることが何より大切です。




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