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初任給高騰…中小企業はどう向き合うべきか―「上げる・上げない」の二択を超えて考える―

近年、大手企業を中心に初任給の引き上げが相次いでいます。ユニクロの37万円、伊藤忠の36万円といった数字を目にし、「中小企業にはもう太刀打ちできない・・・」と感じている経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。


しかし、この流れにそのまま追随することが、中小企業にとって最適解かというと、必ずしもそうではありません。

大手企業の高い初任給は、新卒社員の生産性への対価ではなく、採用市場における“広告費”としての意味合いが強いものです。体力がある(と思っている)企業が、将来の成長を前提に先行投資をしていると解釈すべきでしょう。


一方、製造業や小売業、物流、介護、外食など、現場業務が中心で人手に依存する業種では、人件費が利益に占める割合が高く、価格転嫁も容易ではありません。そのような中小企業が無理に初任給を引き上げれば、賃金と生産性のバランスが崩れ、経営を圧迫するリスクが高まります。


では、この初任給高騰の流れに、どう向き合えばよいのでしょうか。ポイントは三つあります。


第一に、初任給で勝負しないと割り切ることです。

大手より初任給が低いことは事実であり、無理に取り繕う必要はありません。その代わり、「なぜこの水準なのか」「その分、何で報いるのか」を、会社として説明できることが重要です。


第二に、成長と賃金がどう結びつくのかを、具体的に示すことです。

たとえば、

・3年後にはどの程度の賃金水準になるのか

・どんな仕事ができるようになれば評価されるのか

・期待される行動や役割は何か

といったことが見えていれば、初任給が控えめでも納得して入社を決める学生は少なくありません。特に現場中心の仕事では、「できる仕事が増える」「任される範囲が広がる」ことと賃金が連動している実感が重要です。


第三に、採用ターゲットを明確に絞ることです。

すべての学生に選ばれる必要はありません。初任給やブランドを最優先する学生を追うのではなく、「現場で経験を積み、力をつけたい」と考える学生に向けて、自社の価値や成長イメージをしっかり伝えることが、人材の吸引~定着・戦力化につながります。


初任給高騰の流れは、今後もしばらく続くでしょう。しかしそれは、中小企業が無理に追随すべき競争ではありません。

賃金の高さ以外に「この会社で働く意味」を語れること。それこそが、採用市場で中小企業が現実的に勝ち残るための向き合い方ではないでしょうか。



 
 
 

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