ハラスメント対応 ・・・ 企業人事が果たすべき役割は?
- 上田昌平

- 2月14日
- 読了時間: 3分
近年、セクハラやパワハラは広く認識され、法整備も進み、多くの企業で予防体制が整えられてきました。一方で、ハラスメントの種類や捉え方は多様化し、「誰もが加害者になり得る」リスクが高まっているようにも感じます。
ちょっとした反対意見や、やや批判的な発言に対しても、「それはハラスメントだ」と受け取られてしまう場面が増えました。最近では、こうした過度に“ハラスメントだと訴える行為そのもの”を指して、「ハラスメント・ハラスメント(通称:ハラハラ)」という言葉も聞かれます。
また、年長者が若手に対して、自身の価値観や経験を伝えようとした際に、「それは昭和ですね~」と一言で切り捨てられてしまうケースも珍しくありません。この「昭和」という言葉が、コンプライアンス意識の低さやハラスメントが横行していた時代を象徴する、やや否定的な意味合いで使われている点には、少し立ち止まって考える必要があるように思います。
ドラマ『不適切にもほどがある!』が世代を超えて共感を集めた背景にも、こうした価値観の揺らぎがあるのではないでしょうか。令和の基準が常に正解とは限らず、昭和の価値観がすべて誤っていたわけでもありません。過去の経験や考え方の中には、今や未来に活かせる示唆も多く含まれているはずです。
もちろん、いじめやハラスメントを容認してよいわけがなく、これは企業として断固防がなければならない問題です。ただ一方で、実名では意見を言えず、匿名でなければ批判や異論を表明できない人が増えていることに、危うさを感じることもあります。この「発言の萎縮」は、組織における健全な議論や成長を妨げかねません。
私は、ハラスメント対応において企業人事や管理職に求められる視点は、大きく二つあると考えています。
一つ目は、加害・被害の両面を冷静に見極める力です。安易に「言った側が悪い」と決めつけるのではなく、発言の背景や意図、当事者同士の関係性を丁寧に確認する姿勢が欠かせません。
二つ目は、社員一人ひとりが、精神的にも身体的にも健やかに、そしてしなやかに強くなれる環境づくりです。ハラスメントを許さないことは大前提ですが、万一それに直面した際に、自ら対処できる力を育むことも、結果として弱い立場の人を守る土台になります。
令和のハラスメント対応に求められるのは、「毅然とした対応」と「人を育てる視点」の両立です。過度な恐れから発言を封じるのではなく、立場に関係なく率直な意見交換ができる、健全で風通しの良い組織をつくること。それこそ、企業人事が果たすべき重要な役割なのではないでしょうか。
ハラスメントを恐れるあまり、職場から「率直な意見」が消えていないか。
あらためて考えてみたいテーマです。




コメント