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360度評価・・・どう使うのか?

9月7日
読了時間: 3分

「360度評価」という言葉を、最近よく耳にするようになりました。

360度評価とは、上司だけが部下を評価するのではなく、本人、上司、同僚、部下など、仕事で関わる複数の人から評価・フィードバックを受けるしくみです。「多面評価」「360度フィードバック」と呼ばれることもあります。


その考え方自体は決して新しいものではありません。

日本企業では1970年頃から活用が始まったとされ、1990年代には人材育成を目的とした活用にも広がっていったとされています。


では、なぜ360度評価が注目されるようになったのでしょうか。


大きな理由の一つは、「上司だけでは、本人の仕事ぶりをすべて見ることができない」ということです。

例えば、上司には感じよく振る舞うのに、部下には高圧的な管理職。反対に、上司にとってはあまり目立つ存在ではないのに、同僚との連携や部下の育成には大きく貢献している人。

このような人もいるのではないでしょうか。

つまり、立場によって見えている姿は違うということです。


だからこそ、複数の視点から本人の行動を捉えることで、本人が気づいていなかった「強み」や「改善すべき点」を発見できる。これが360度評価の大きな価値だと思います。


360度評価を「人事評価」にしてはいけない?

一方で、360度評価を導入する際に、最も注意すべき点があります。

それは、360度評価と、賃金や昇格を決定する人事評価とは、分けて考えたほうがよいということです。

なぜなら、「周囲から評価されること」と「会社がその役割を担う社員に求めていること」は、必ずしも同じではないからです。

例えば、管理職には、時には部下に厳しい指導をしたり、耳の痛いことを伝えたり、組織として必要な判断をしたりすることが求められます。

しかし、部下からの評価がそのまま自分の評価や処遇につながるとしたら、どうでしょう。

「嫌われないようにしよう」

「厳しいことは言わないでおこう」

そんな気持ちが生まれてしまうのも、人間として自然なことではないでしょうか。

その結果、「部下から人気のある上司」が高く評価される一方で、「部下を育てるために必要な指導をする上司」が低く評価されるという、本末転倒なことも起こり得ます。

もちろん、360度評価によって得られる情報には大きな価値があります。

だからこそ、私は360度評価を「評価制度」として考えるより、「人材育成のためのフィードバック制度」として考えることが重要だと思います。


360度評価の目的は「気づき」と「行動変容」

360度評価の結果を本人に、

「あなたは周囲から、このように見えています」

と伝える。

そして、

「自分ではどう思うのか」

「なぜ、このような評価になったのか」

「これから何を変えていくのか」

を一緒に考える。

さらに、その後の上司との面談や研修、行動計画、フォローアップまで行う。

そこまでやって初めて、360度評価は「人を育てるしくみ」になるのではないでしょうか。


360度評価の目的は、誰が優秀な社員なのかを決めることではありません。

本人に「気づき」を与え、その気づきを「行動変容」につなげること。

だからこそ、360度評価は「評価制度」というより、人材育成のための強力なツールと考えるべきではないでしょうか。


 
 
 

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